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「fakeの誰もが知りたがっているくせにちょっと知ることが出来ないジャッキー・チェンのKUNG FUのすべてについて教えましょう」

jackie chan

 ・・・という訳でジャッキーです。

 “ジャッキー・チェンは武術家か?”

 答えは簡単、“否”です。

 今回の話はこの前提に立って進めます。



 ジャッキーの経歴をみると、幼少時に京劇学校で学び、スタントマ
ン、武術指導を経て、功夫映画のスターにという流になることはみな
さんもご存じのことと思います。

 では、ジャッキーの武術は何か?ということは存外語られていませ
ん。

 最初に言ったように、彼は功夫スターであっても武術家ではないの
ですから。

 でも彼にだって功夫の素養はある訳で、その核は一体何であるの
か?というのが今回の話です。


 従来であるならば、京劇=北派と見られがちでした。

 無論それは間違いではなく、彼のアクロバティックな身のこなしから
も判ることです。しかしそれだけでしょうか?

 映画を見ていると明らかに南派のテクニックが垣間見れるのは何故
なのか・・・・。


 実はその答えは案外あっさりと出ているのですが、「白眉拳」(注♯1)
という拳法を学んだと本人が「INSIDE KUNG FU」誌に語っているの
です。
 一時期は功夫マスターになるまでを考えて修業を積んだと同誌で
は語っていますが、しかしこれだけではあえて一項目を立ててまで語
る意味が無い訳で、長かった前ふりのためにもここからが本番。


 もともとジャッキーのお父さんは「洪家拳」を習っていた(注♯2)の
で、彼が最初に習ったのはそう黄飛鴻ゆかりの洪家拳です。

 ジャッキーが香港でブレイクのきっかけとなった『蛇形刁手/スネー
キーモンキー蛇拳』の中で、彼が見せている自己流拳法“蛇形拳猫
爪くずし”なる技は、洪家拳の諸動作のひとつである“猫伏鼠”という
動きの映画的アレンジ。

 次作の『酔拳/ドランクモンキー酔拳』では、いよいよ黄飛鴻本人を
演じるのですが、袁和平の企画に沿ったからだけなのではなく、ジャ
ッキー本人に洪家拳の素養があったからこその抜擢だったと考える
方が、本来は『蛇形刁手 第二集』であったタイトルまで変更した意味
も含めて自然ではないでしょうか。

 でも映画でやっているのは酔拳じゃん?!と思われるかもしれませ
んが、劇中で酔拳を修得するまでの黄飛鴻が使っている技は、ちゃん
とした洪家拳に則った動きなんです。

 もちろんあくまで映画的なアレンジは施されているにせよ、それは『酔
拳Ⅱ/酔拳2』にまで徹底して統一されている点はジャッキーのこだわ
りなのでしょう。


 初監督作である『笑拳怪招/クレージーモンキー笑拳』は、そのもの
ズバリ洪家拳を題材とした映画で、笑拳という技こそ実在はしなくても、
映画で見せている動きは間違いなく洪家拳です。

 陳惠樓扮する八足麒麟は、最後の技を伝授する際「鐡線拳」という名
前を出しますが、鐡線拳こそ洪家拳の中で最も有名な技でして、これ
を映画的にアレンジしたものが笑拳ということになります。

 ポスターで有名な笑拳のポーズこそ、洪家拳の基本型・雄鶏模翼な
んですが、洪家拳一家としても有名な劉家班が『少林三十六房/少林
寺三十六房』冒頭で劉家輝に演じさせているものと同じな訳です。ジャ
ッキーの大胆なアレンジと見比べられては如何かと。


 ジャッキーの洪家拳と黄飛鴻に対する思いは並大抵のものではなく、
徐克が『黄飛鴻/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地黎明』を
撮影するという話が出たとき、わざわざ本人が徐克の電影工作室にま
で出向き「いったい黄飛鴻をどうするつもりか?頼むからワイヤーなん
かで空を飛ばしたりしないでくれ!」と頼み込んだ話は有名です。(注♯3)

 この時の頼みも空しく、徐克の作った黄飛鴻は華麗にワイヤーで空
を飛ぶ黄飛鴻でした。これが後に『酔拳Ⅱ』を作る遠因となったのは言
うまでもないでしょう。


 その『酔拳Ⅱ』を作るまでの14年間、ジャッキーが功夫映画を封印し
てきたのは何故だったのでしょうか?


 『師弟出馬/ヤングマスター』にその答えを見ることが出来ます。


 彼はこの作品に自身の持てる技全てを注ぎ込んでいるといっても過言
ではありません。

 冒頭の獅子舞(注♯4)から始まり、扇子、刀、棒、椅子、煙管、ロープ、
果てはスカートの裾まで使いこなしてみせます。
 武器だけではありません、圧巻なのはやはり黄仁植とのラスト20分に
も及ぶ激闘でしょう。ここでのジャッキーは、それこそありとあらゆる拳法
の型をアレンジした独自の動きを駆使して強敵に挑むのです。

 洪家拳、蔡李仏拳、詠春拳、功力拳、白眉拳、地功拳、莫家拳・・・・こち
らが気がつかないだけでまだミックスされているとは思いますが、闘いの
状況に応じて変化を続け、攻めに攻めても倒せないほどの強敵、それで
も状況を打破出来ないからこそ、最後にアヘンを飲んで感覚を麻痺させて
からの大暴れに黄仁植は破れるのです。

 ここら辺が似ていると指摘された『酔拳Ⅱ』のラストとの違いです。あれは
お酒が無くて酔拳を封じられた黄飛鴻が、窮余の一策で鉱業用アルコール
に手をつけるのであって、シチュエーションは類似していても意味合いは随
分と違うはずです。

 さて長々と検証してきましたが、ジャッキー・チェンの武術の一端でもお伝
えできていれば幸いです。

 
 最後にもう一度。


 ジャッキー・チェンは武術家ではありません!


 彼は功夫スターなのです。


 
 ・・・でも、ジャッキーの武術も大したものだとは思いませんか?



 (旧香港電影的日常 2001年02月22日より転載)



 (注♯1)
 白眉拳は、清初に白眉禅師によって創設されたといわれている。現代中国
でも実戦派として知られ、詠春拳に似た手技を使う。よって木人も練習方法
として取り入れている点は詠春拳と同じ。

 (注♯2)
 '79年頃に台湾の映画雑誌でのインタヴューに答えてジャッキー本人が語
った。
 父親と洪家拳についてはドキュメンター『龍的深慮-失落的拼圖/トレース
・オブ・ア・ドラゴン失われた龍の系譜』でも言及。

 (注♯3)
 『Shanghai Noon/シャンハイヌーン』が元々は『酔拳3黄飛鴻西部へ行く』と
いう企画だったのを、洪金寶&徐克にアイディアをパクられて先に『黄飛鴻之
西域雄獅/ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ天地風雲』を作
られてしまった。
 西部劇の企画自体は'80年代後半にフランシス・フォード・コッポラより持ちか
けられた合作企画よりスタートしている。

 (注♯4)
 正しくは南方獅藝。ちなみにジャッキーの使っている金色の獅子頭は劉備玄
徳を表している。
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